お帰りなさい、OLYMPUS PEN

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久しぶりにオリンパス銘の入ったデジタルカメラを購入しました。昨日発売のE-P7。OMデジタルソリューションズと社名が変更されてから、初めてのカメラですね。

発表されてすぐに予約して、今日届きました。本当は昨日受け取りたかったのですけど、宅急便の時間が合わなくて。

レンズも、久々にオリンパスのを購入しました。クラシカルなフォルムの単焦点2本、M.Zuiko ED 12mm f2.0とM.Zuiko 17mm f1.8。中古ですけど。パナライカの単焦点と合わせ、使ってみるつもりです。

40年以上前にOM-10を使い始めて以来、ほぼずっと、オリンパスのカメラを使い続けてました。小ぶりなボディで、私の小さめな手にぴったり合うのがとても心地よかった。

それほどオリンパスというメーカが好きなのに、2020年にE-M5とE-PL6を手放して、オリンパスのデジタルカメラは使わなくなってしまいました。

理由はほぼはっきりしています。オリンパスの現行機種はほとんど左手で電源スイッチを操作しなければなりません。これが、私としては我慢できないのです。左手は普通レンズに添えてフォーカスやズームを操作するので、この途中に軍艦部の電源スイッチを操作する、というワンステップが挟まると、動作の流れがとても悪くなります。現に、世の中のデジタルカメラは、右手側に電源スイッチがあるのが多数派です。

オリンパスが一貫して左手側に電源スイッチを置いているのはなぜか。私は、大きな理由の一つが、フィルムカメラのOMシステムとデザインを似せ、OMファンを捕まえておこう、ということなのだと思っています。一見一理あるようですが、OMシステムは電子シャッターなのに、電源スイッチを入れていなくても、シャッターボタンを押した時だけ電流が流れ、シャッターが切れる仕組みを備えていました。つまり電源スイッチを操作する必要があまりなかったんですね。一方デジタルカメラでは、もちろん電源スイッチを入れなければシャッターは切れませんし、バッテリーの消費を抑えるために、こまめに電源スイッチを入れたり消したりしますから、電源スイッチを操作しやすいところに置くのが必須です。

というわけで、デザイン優先で、デジタルカメラの操作性を損なう「左手側電源スイッチ」を採用し続けているオリンパスの設計姿勢に嫌気がさした、というのが、オリンパスから離れた一番大きな理由でした。

でも、オリンパスのカメラを手放すときに、一つ心に決めていたことがあります。もし、いつかオリンパスが「右手側電源スイッチ」かつ魅力的なカメラを出してきたら、その時にはもう一度オリンパスのカメラを手にしよう。オリンパスのカメラのために、一つ、席を用意しておこうと決めたのです。

そう、やっぱりオリンパスというメーカが好きなのですよ。私。

それで、E-P7ですよ。オリンパスで唯一「右手側電源スイッチ」を採用していた「PENシリーズの普及モデル」の操作性を引き継ぎ、PEN-Fのプロファイルコントロール機能を引き継ぎ、OM-Dから手ぶれ補正などを引き継ぎ、まとめてきたカメラ。これをOMデジタルソリューションズになって初めてのカメラに出してきてくれた。本当に嬉しかったです。

世間的にはOM-Dシリーズの新機種とか、PEN-Fの後継機種とかを期待した声が多いように思いましたけど、私は、OM-D系ならスルーしてたし、ましてやPEN-Fの後継なんかをOMデジタルソリューションズ1発目に出してきてたりしたら完全にカメラメーカとしてのOMDSを見限ってました。格好はいいけどデジタルカメラとして使いにくい、その上売れなかった、そういう機種の後継なんかを出してるようじゃ、企業として将来性はないと思いますし。

実際に手にした感触としては、クラシカルなフォルムを持ちつつ、ちゃんと現代のデジタルカメラとして操作しやすくなっているので、期待通り、です。EVFは最近全然使わない(というかファインダーを覗いて撮影することがほとんどなくなりました)ので、なくても全然問題なし。

少し試し撮りした感じでは、ほとんどプロファイルコントールのMONO 2とCOLOR 2で撮ることになりそうです。コムロミホさんの好みと同じですね。

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国島 丈生
レンズの向こうの記憶

情報科学分野の大学教員。遠距離通勤の道すがら写真を撮る毎日。小さいカメラが好き。BSD/Mac/Ruby/Rails/Web/関数型言語/マークアップ言語/弦楽四重奏/ルネッサンス音楽/フェルメール/北欧デザイン/写真/組版/タイポグラフィ/浄書/中世文学/陶磁器/書